光触寺 明王院 浄妙寺・喜泉庵の抹茶 ランチ 瑞泉寺・庭園 鎌倉宮 覚園寺 北条高時腹切りやぐら 宝戒寺 披露山公園 Tea or Dinner
テーマは、「誰も知らない鎌倉」。
奧鎌倉を中心に、一般的な観光客は名前も知らないような歴史情緒に溢れるスポットを訪問して行こうと思う。
最初に訪れる光触寺は1278年に創建され、念仏の道場として700年続いているお寺だ。
開基は時宗の開祖の一遍上人。
寒い時期には、寺の側道に面した崖を伝う天然の氷柱が見られる。
次の明王院は鎌倉13佛霊場の1番札所で、鎌倉で唯一五大明王が揃うお寺。紺地に金文字のシックな御朱印帳でも知られている。
奧鎌倉でも最奥の部類に入り、苔むした石の階段を登った場所に佇む瑞泉寺。
入ってすぐの場所には梅園があり、四季折々の風情が感じられる。拝観料は300円。吉田松陰の叔父が住職をしていたため、来航したペリーも何度か訪れたとか。
裏手に「名勝瑞泉寺庭園」という珍しい岩の庭園があり、こちらは後から発掘されたものらしいのだが、実は京都嵐山にある世界遺産の天龍寺や西方寺の庭園を手掛けた夢窓国師が作ったもの。紅葉ヶ谷を三方の山の岩盤を活かし、彫刻的手法によってつくられた岩の庭。鎌倉に現存する鎌倉時代唯一の庭園というのだから、これだけでも拝観の価値はある。
鎌倉宮は、14世紀に後醍醐天皇の皇太子、護良親王が対立する足利尊氏に幽閉された土牢がある場所に立つ神社。
北条氏の残党による乱で尊氏は鎌倉を追われることになるが、尊氏の弟である直義は護良親王が北条市にかつがれるのを恐れ、去り際に親王を始末することに。護良親王は激しく抵抗するも、ついには首をはねられ、凄惨な最期を遂げたという。
拝観料300円を払うと、土牢を見学することが出来る。
一度は征夷大将軍まで上り詰めた護良親王が、足利尊氏によって九ヶ月もの間幽閉されていた地下牢の目の前に。歴史の壮大な悲劇の瞬間と、現在がつながったかのような、不思議な気持ちにさせられる。
鎌倉宮の近隣にはランチ出来るお店が比較的多く、そのうちのひとつへ。おしゃれな個人宅でカフェを営む、という鎌倉らしい佇まい。
焼きあがったばかりのシナモンロールが香ばしく香っていた。
ご夫婦で営んでいらっしゃるカフェのようで、とても感じが良く、友人宅のようなくつろぎ感がある。
ランチは、ヘルシーで軽めのタコライスと、ボリュームのしっかりある鉄板ナポリタンを注文。
食後のティータイムに、シナモンロールとバスクチーズケーキを頂く。
稲荷山と称される浄妙寺は、知る人ぞ知る、鎌倉の象徴のような場所。源頼朝の忠臣・足利義兼が1188年に創建し、当時は極楽寺と呼ばれる密教系の寺院だったそうな。
一般には公開されていなかったが、1257~1259年に開山され、寺名も浄妙寺と改称。中興開基は足利尊氏の父の貞氏で寺の敷地内に墓があり、東の山にある祠は鎌倉の名の由来と言われる鎌足稲荷がひっそり佇むなど、一般には広く知られていないが、鎌倉を象徴する立派なお寺なのだ。境内は国指定史跡。
境内にある茶室、喜泉庵へ。
鳥のさえずり、水の音に耳を澄ましつつ、枯山水の庭を眺めながら、抹茶と季節の生菓子を頂く。
贅沢でゆったりとした時間が流れている。
國指定の史跡である覚園寺は、鎌倉幕府執権往生家歴代の尊祟を集めた寺で、周辺では昔ながらの鎌倉の風情を垣間見ることが出来る。
覚園寺は山門、三蔵、愛染堂までの撮影は出来るものの、拝観受付所の先にある本堂 薬師堂、旧内海家、十三佛やぐら、地蔵堂のエリアについては「祈りをささげる空間」として撮影禁止。拝観料500円が必要だが、後悔することはないだろう。北条義時公が夢の中で霊験を受けて建立した鎌倉武士の祈りの空間である大倉薬師堂。一度は焼失したものの、足利尊氏によって再建され、以来、当時のまま残されており、素晴らしいものを見ることができる。
そして、鎌倉幕府終焉の地へ。
新田義貞に追い詰められた北条高時と金沢北条家の将兵を含めた一門870余人が自害したとされる、東照寺跡地へ。元々は谷全体が北条泰時によって建立された東勝寺という大寺のあった場所だが、高時自害の際に焼失。のちに再建され、関東十刹となったが、16世紀以降に廃寺になったといわれており、いまはひっそりとやぐらだけが残されている。
落石の恐れなどから入山することが出来ないので、遠くから眺めるだけにとどめる。
自害した800余人の阿鼻叫喚に満たされたであろう、悲劇の場所、腹切りやぐら。
ここで、鎌倉幕府は終焉した。
いまや、寄り付く人すらいないまま、時の彼方に置き去りにされているかのようだ。
歴史の足跡をじっくりたどった後は、富士山と夕焼けの逗子の海が一望できる披露山公園へ。無料の展望台がある。
目を上げれば、正面に富士山が見え、右には大山、左には伊豆の天城連山が連なる。
眼下には、日本のビバリーヒルズと呼ばれる高級住宅街が並ぶ。
今日はいい日だった。
800年前の出来事の数々、人々の息吹と鼓動は、歴史の教科書内にではなく、我々の目の前に、触れられる場所に満ちていた。
鎌倉という土地に刻み込まれた武士たちの幻、そして深みと儚さの交錯する歴史の刹那。
今を生きる私たちの生き様は、800年後の人々の目にはどのように映るのだろう?
私たちが鎌倉時代を振り返るような過去への情緒を持って、私たちの暮らしもまた振り返られるのだろうか。
陽は沈み、また昇る。明日からは、未来を続けるのだ。
言葉にはし切れないときの流れの余韻はそっと胸に残しつつ、さあ帰路につこう。
・開催日:スケジュールを参照
・備考:寺院や神社の境内を歩きますので、スニーカーなど、歩きやすい靴でご参加下さい。
※シーズン、参加メンバーの顔触れや希望などにより、訪問場所や食事含め、スケジュールの内容などは柔軟に変更することがあります。
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